虫歯とは
お口の中にいる細菌が、食事の際に摂取した糖分を餌にして酸を作りだし、この酸によって歯が溶けた状態のことを虫歯と呼びます。
虫歯は、「糖分（ショ糖）」「細菌（ミュータンス菌）」「歯質（エナメル質・象牙質）」の要素が重なった時に発生します。
中には甘いものをたくさん食べていても虫歯になりにくいという方もいらっしゃいます。
それは、溶け出した歯質を元に戻す働きのある「だ液」の力が強い傾向にあり、もともと持っているお口の細菌量も少ない性質だからと言われています。
虫歯は放っておくと症状はどんどんと悪化し、最終的に抜歯をしなければならないことも。
また、虫歯菌をそのままにしておくと、血液中に細菌が入り込み、お口の中だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼし、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気を引き起こすリスクもあります。
虫歯にならないためには、定期的な歯の検診などの予防が大切です。
糖分
食べ物に含まれている糖質はミュータンス菌が酸を作る材料に。
間食が多い・甘いものをよく摂る習慣のある人は、歯の表面が酸にさらされる時間が長いため、むし歯になりやすい。
細菌
ミュータンス菌は約1μm（1/1000mm）の球状の菌。
歯垢（プラーク）となって歯の表面に付着して糖質から酸を作り出し、その酸が歯の成分であるカルシウムやリンを溶かしていく。
歯質
エナメル質や象牙質の状況（歯の質）によってむし歯になりやすい人も。（歯が作られる時の環境の違いなど個人差あり）
特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要。
当院で行う虫歯治療
痛みや不快感を軽減した、痛みの少ない治療
「歯医者が怖い」「痛いのがいやだ」という患者さまも安心して受診いただけるよう、可能な限り痛みや不快感を軽減した「痛みの少ない治療」を行っています。
麻酔時には、一定の速度で麻酔液を注入するため従来の方法よりも痛みを感じにくい「電動麻酔器」を使用しております。
可能な限り削らない、歯を守る治療
歯の状態によって抜歯や歯を削ることは避けられないこともありますが、可能な限り天然歯を残すために「歯を削らない治療」を行っています。
虫歯の進行について
C1C1（歯の表面の虫歯）
進行を防ぐためにフッ素塗布や適切なブラッシングを行います。
小さな詰め物で修復する場合もあります。
- 歯に小さな茶色や黒っぽいシミ、表面がザラつくこともある
- ほぼ無症状
C2歯の中の虫歯
象牙質（エナメル質の内側）まで達し、進行速度が速くなります。
虫歯の部分を削り、詰め物（レジンやインレー）で修復します。
- 穴が深くなり、茶色や黒い変色が目立つ
- 冷たいもの・甘いものでしみる（知覚過敏のような感覚）
- 痛みはまだ軽いが、進行すると違和感が増す
C3神経まで進行した虫歯
神経を取り除く「根管治療」が必要となり、クラウン（被せ物）を装着します。
- 大きな穴が開き、内部が黒く変色
- 強い痛み（ズキズキと脈打つような痛み）
- 温かいものでもしみる
- 何もしなくても痛むことがある（自発痛）
C4歯の根まで進行した虫歯
歯の大部分が崩れ、根だけが残っている状態です。
抜歯が必要になることが多く、ブリッジ、入れ歯、インプラント等で補う必要があります。歯の根の治療（根管治療）によって歯を保存できる場合もあります。
- 痛みが一時的に消える（神経が完全に死ぬため）
- 放置すると歯茎が腫れ、膿がたまる（歯根嚢胞）
- 歯茎を押すと違和感や痛みを感じる
虫歯にならないために
むし歯のなりやすさを左右する歯質は、歯の再石灰化を促進するフッ化物配合の歯磨き用品の利用や、食事の際によく噛んで「だ液」の分泌を促進することで強化できます。
また、食事中と食後は口内が酸性になり、むし歯になりやすい状態になるため、「間食は時間を決める」「糖分の少ない食べ物・飲み物を選ぶ」と良いでしょう。
丈夫な歯を育てるためには、バランスの良い食事をとることが大切です。
歯の土台を作る良質な「タンパク質」、歯の再石灰化のために必要な「カルシウム・リン」、これらがうまく働くための「ビタミンA、C、D」などの栄養素を摂り入れましょう。
そして、歯科医院へ定期的に通い予防することが大切です。
歯の根っこの治療（根管治療）
根管治療（こんかんちりょう）は、虫歯が神経（歯髄）まで進行した場合に歯を残すために行う治療です。
感染した神経を取り除き、根管内を消毒・洗浄し、薬剤を詰めて密封します。
通常、数回の通院が必要で、治療後は歯がもろくなるためクラウンを装着します。治療中や治療後に痛みを感じることもありますが、適切な処置で改善します。
途中で中断すると再感染し、抜歯が必要になることもあるため、最後まで治療を完了することが大切です。
根管治療が必要なケース
- C3（神経まで進行した虫歯）
- 歯の神経が死んでしまった場合
- 以前に根管治療した歯の再感染
- 事故などで神経が傷ついた場合 等
